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所長挨拶に代えて

 

「SDGs(Sustainable Development Goals)の達成に向けた具体的な取り組みを」

 

所長 大塚 雅之

 

 2015 年9 月の国連総会において,2016 年から2030 年の15 年間に, 加盟国が達成すべき持続可能な開発目標,SDGs(Sustainable Development Goals)が提示され,採択されたことは記憶に新しいところです.大きな目標として17 項目が掲げられており,中には「健康的な生活の確保」,「質の高い教育」,「安全な水とトイレ」,「クリーンなエネルギー」,「産業と技術革新の基盤構築」,「住み続けられるまちづくり」,「気候変動への対策」など,建築・都市の環境設備分野として貢献できるテーマも多く盛り込まれており,本研究所の果たすべき役割も大きいと考えます.

 建設分野では,2015 年のパリ協定に基づき,2030年度の温室効果ガス排出量を2013 年度と比較して26%削減する中期目標が掲げられています.その目標達成に向けて,ZEB やZEH の実現位の動きは益々促進されてきます.建築物省エネ法の適応の義務化の範囲が,大規模建物から中規模建築物へ,さらには小規模住宅へと拡張されてきています.一方,個々の建物での省エネから地域間でのエネルギーの効率的な融通によるスマートコミュニティの形成も,これからのまちづくりの考え方の中でも必要な取り組みです.さらに,最近は,健康・維持増進の促進,スマートウェルネスな生活空間の実現に向けて,IoT やAI 技術の導入も開始されています.それらの技術は,高齢者社会に向けての健康管理・維持増進への手段としても実用化と適用範囲の拡張が期待されています.

 また,アジア,そしてアフリカなどにおける安全な水供給技術や衛生的なトイレの整備,トイレなどの衛生機器の国際市場での節水・節湯技術の基準化(ISO 化)への対応も大きな課題になっています.加え,昨年は,集中豪雨による土砂崩れを多発,猛威を振るった台風,健康へも大きな影響を与えた猛暑,電力のブラックアウト大停電を招いた大地震など,自然災害の猛威と気候変動の影響を受けた一年でもありました.それらに対して,安全に住み続けられるまちづくりに取り組むことも重要なテーマといえます.国土交通省では,2018 年5 月に新築建物を対象に大規模災害に備えた「防災拠点等となりうる建築物に係る機能継続ガイドライン」を整備してきましたが,既存建物への展開が議論されており,その策定を待つ段階に来ています.改めて,LCP やBCP への対応を考えた環境設備の計画・設計のあり方と新たな技術開発の必要性を感じています.

 このような社会,そして建築環境・設備業界を取り巻く環境の中,平成から新たな元号へと変わる激動の新年となります.本研究所としましても,業界・社会が抱える諸問題の解決に,環境設備技術の研究・開発と環境設備教育を推進し,社会への貢献を果たして行かなければなりません.

 今年は,いわば,2020 年東京五輪への助走区間となる1 年でもあります.所員一同,研究の基礎力を蓄えるとともに,実践的な研究を推進し,来るべきオリンピック・パラリンピックイヤーには,ホームストレッチを快走できるような研究活動を展開できるように努力して行きたいと考えています.

(建築設備工学研究所報 No.42(2019.3)「巻頭言」より)