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次世代型空調システム性能試験室

次世代型空調システム性能試験室

持続可能な社会の構築に向けて,エネルギー消費や効率の面で優れていることはもちろんのこと、環境や居住者にとっても高い満足度が得られるような次世代型の空調設備システムの確立が求められています。2000年に完成した関東学院大学次世代型空調システム性能試験室は、試験室にオフィス、住宅等の室内環境をつくり出して実験が行われます。また、環境試験室の天井裏と床下を空調用ダクトワークやプレナムチャンバーのための空間として利用することで様々な空調方式が採用可能となる実験装置となっています。

 
(1) 次世代型空調システム性能試験室
次世代型空調性能試験室は,9600mm(L)× 3650mm(W)×2350mm(H),床面積35m2,容積82㎥あります。
環境心理面の実験に対応するため,室内は通常のオフィス空間を模した内装仕上げを採用しています。
[ 床材 ]
200mm 高さのFSRC(スチールメッシュで補強された繊維強化セメント)製500mm角の孔あき二重床パネルを用いており,床スラブ上に30mm のビーズポリスチレンボード断熱材を敷設。また,タイルカーペットには,通気性タイルカーペットを使用。
[ 天井 ]
グリッド式のシステム天井とし,照明は,天井埋め込み型Hf蛍光灯16W4灯組を18 セット設置。
[ 窓 ]
合計4 箇所あり,間仕切り壁により室内を同一寸法の2 室に分割した使用が可能です。
試験室の周囲には,300mm幅の緩衝空間を設けてあり,壁面を通した不必要な熱の移動を抑制する工夫がなされています。
  写真:次世代型空調システム性能試験室での実験の様子 
 

 
(2) 空調システム
熱源機として,空冷ヒートポンプ式ブラインチラー(冷却能力28.0kW,暖房能力44.0kW)を採用し,一部補助熱源用として電気ヒーターを付加していて、取入れ外気の除湿は,ハニカム式除湿機にて行っています。

空調機の系統は,4種類あり,a)試験室系統,試験室周囲の緩衝空間用であるb)Aゾーン系統,c)Bゾーン系統,さらにd)パーソナル空調系統で構成されています。

試験室系統の室内への送風量は最大1800m3/h,外気は最大900m3/hまで取入れ可能で,室内制御域は空気温度15 ~ 35 ℃,湿度30 ~ 80 % RH です。A・Bゾーン系統の風量はそれぞれ最大600m3/hあります。

パーソナル空調系統には,机上吹出し型のタスク空調システムが4 セット接続されており,1 台あたり200m3/hの送風が可能です。
複数の給気(天井・床・机上),排気(天井・床)方式の組合せによる実際のオフィス環境を模擬した空調試験を行うことにより,冷暖房換気方式の違いによる温熱空気環境,エネルギー消費量の評価試験を行うことができます。
 
(3) 今後の予定
複数のタスク空調システムとアンビエント空調システムの組合せ条件下における実験により,次世代型空調システムとして期待される執務空間におけるタスク・アンビエント空調方式の適用可能性に関するデータの整備を行う予定です。
実際の条件に近い環境におけるタスク・アンビエント空調システムの組合せ試験により,オフィスにおける室内発熱負荷の偏在や,個人差が大きい居住者の温熱環境や気流に対する嗜好を満たすと同時に,環境負荷を低減することが可能となる組合せ条件を明らかにしてゆきます。

尚,本装置は,平成12年度私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費))によって設置されています。