Director's Greeting
所長挨拶
所長 山口 温
2024年度(令和6年)より、前所長 遠藤智行教授の後を引き継ぎ、大沢記念建築設備工学研究所 第17代所長に就任いたしました。微力ながら研究所のさらなる発展に貢献できるよう努力していく所存でございます。
本研究所は、戦後日本の建築設備における教育者、開拓者であった故 大澤一郎名誉教授の提唱のもと、教育と研究活動の相互密接な連携と来るべき時代の建築設備技術の汎用性と多面性の要求と進歩のため、関東学院大学に附置する建築設備研究所として1968年に設立しました。
その後、研究施設は2005年に環境共生技術を研究するための実験装置として総合的なサステイナブル建築=環境共生技術フロンティアとして様々な技術が導入され、改修・再生されました。それらの技術が検証され、さらに研究所に隣接する建築・環境棟(5号館)へと技術が継承されています。
研究所の所員は、建築・環境学部に所属しており、学部と大学院の教育と研究が密接に連携した機関となっております。学生は研究に積極的に参加し、実際の課題解決に取り組むことで理論と実務を結びつける貴重な経験を積むことができます。
私たちは専門的な知識を修得するだけでなく、社会で活躍できる人材を育成する一助となることも研究所の使命と考えております。
さて、研究所創設から半世紀以上、現在、世界中で地球温暖化防止対策に取り組むなか、気温上昇の更新を受けて、The Era of Global Boiling/地球沸騰化(アントニオ・グテーレス国連事務総長、2023.7)の時代が始まったとされています。
我が国は 2020年10月に「2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050 年にカーボンニュートラルな脱炭素社会を実現する」ことを宣言しました。 2025年4月には住宅の省エネ基準適合義務化が予定されるなど、ZEH、ZEB 化の動きは加速し、同時に既存建築に対する対策も重要視されています。
一方で、2050 年カーボンニュートラルは「野心的な目標の達成」とも表現されており、建築に関わる部門別のCO2 削減目標は、2013 年度の実績に対して業務部門 は51%減、家庭部門は 66%減という大きな数値目標が示されています。
2050年カーボンニュートラルの達成には、建築環境工学及び建築設備分野が重要な役割を担っています。
これまで研究所では建築設備の効率化、環境共生技術の性能検証、水資源の有効活用、エネルギー削減、建物の維持管理など、持続可能な建築技術に関連する研究に取り組んできました。
今後も具体的な研究テーマを設定し、課題解決に向けて研究を進め、社会に貢献していきたいと思います。
これからもご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。