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所長挨拶

所長挨拶に代えて

 
「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下において」

 
所長 遠藤 智行

 
 本年度より大塚雅之所長に替わり,研究所長を仰せつかりました遠藤でございます.長い歴史を持つ研究所の所長という重責を感じつつ,はなはだ微力ながら研究所の発展に努力いたす所存でございますので,よろしくお願い致します.

  
 令和という新しい時代の幕開けとともに,我が国で 56 年ぶりに開催される東京オリンピックへの期待感を持って巻頭言を執筆してから 1 年,社会は全く予想だにしない状況となりました.年末年始の特番にオリンピックのメダリストらの姿は無く,初詣や箱根駅伝の観戦にも自粛が呼びかけられ,自粛警察なる言葉を耳にする機会も増えました.ここで,本年の本学の状況を記しておきます.2020 年 1 月,WHO が新型のコロナウイルスを確認しました.この頃の日本はまだ国外での出来事という感が強かったと思います.2 月になり,感染が確認された乗客を乗せたクルーズ船が横浜港に逗留しました.この頃から本学が位置する横浜においても危機感が一気に増大し,例年,3 月にみなとみらいの赤レンガ倉庫で開催されていた建築・環境学部の建築展も現地開催を中止(オンラインに切替え),卒業式・修了式の式典及び入学式の式典も中止となっていきました.この 10 年間でこれらの式典が中止となるのは2011 年に続き,2 度目です.4 月には県下に緊急事態宣言が発出され,大学の講義も原則オンラインによる実施となりました.新しい学校,新たな学生生活のスタートに胸躍らせながら学内を歩く新入生の姿は見られず,大学構内は閑散とした状態が続きました.大学教員は慣れないシステムに悪戦苦闘しながら,学生たちのために,短期間で必死に講義準備を行いました.この期間を頑張って乗り切れば,夏には日常生活が戻るという期待を持って,多くの国民が努力をしましたが,残念ながら東京オリンピックは延期,夏の甲子園大会やインターハイなども中止となってしまいました.人との間隔をとり,マスクを着用する新しい生活様式が提唱され,「3 密」が新語・流行語大賞の年間大賞にもなりました.冬には第 3 波を迎え,春の緊急事態宣言時をはるかに凌ぐ新規感染者数が連日,報道されるようなりました.本学建築・環境学部は秋学期から対面講義を再開しましたが,2021 年 1 月 7 日に県下に再び緊急事態宣言が発出されたことに伴い,全面オンライン講義へ移行となりました.2 月 3 日現在,厚生労働省の発表によると,国内死亡者数は 6018 人,陽性者の累積数は 394256 名となっています.全世界では感染者数が 9300 万人を超え,死亡者数も 200 万人を超えていると言われています.このような異常ともいえる状況での 2020 年において,建物の空調換気設備や衛生設備も多くの注目を浴びました.空気調和・衛生工学会をはじめとした多くの学会や協会で感染症対策や換気などに関するシンポジウム・ワークショップが開催され,本研究所からも大塚教授や私も講演者として情報提供を行いました.

 
COVID19 一色の一年でしたが,本年は研究所にとって大変喜ばしいニュースもございます.大塚教授が公益社団法人空気調和・衛生工学会の第 94 期,95 期の会長に就任されました.当学会は建築設備のまさに本丸であり,本研究所とも長く強い繋がりのある学会です.多くの皆様にご紹介させていただくために,特別に許可を得て,大塚教授の会長就任挨拶と年頭所感を本誌に転載させていただきました.また,高橋顧問が令和 2 年度産業標準化事業表彰経済産業大臣賞を受賞され,研究所に関連する大学院生 2 名も空気調和・衛生工学会大会優秀講演奨励賞を受賞されました.

 
建築設備を専門とする研究所として,技術者や研究者向けのみならず,一般の方々に向けた日常・非日常における建築設備の適切な運用方法等の情報提供が必要であると切に痛感した 1 年でした.今後も学部と連携し,ホームページ等で様々な情報を発信していきたいと思います.今後も所員ならびに関係者一同で頑張っていきたいと思いますので,ご支援のほどよろしくお願い申し上げます.

 
今後も所員ならびに関係者一同で頑張っていきたいと思いますので,ご支援のほどよろしくお願い申し上げます.

 
(建築設備工学研究所報 No.44(2021.3)「巻頭言」より)